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『──…彼氏いない歴イコール年齢の私と、小山内秘書みたいなキラキラした男性が…分かり合えるとは思えません。』
口に出してからハッと我に返って、慌てて『すみませんっ、』っと謝った。
っが時すでに遅し─…彼は驚いたように私を凝視して、瞬きを必要以上に繰り返している。
「え…っと、すみません。失礼を承知でお伺いしますが…美堂秘書は、これまで男性とお付き合いされたことが…ないのですか?」
私が先程言った言葉たちを、ただ丁寧に訳されただけ…みたいなその発言に、少し苛立ちを覚えつつ、、
『─…はい、そうですね。恋愛初心者…っというより未経験なのでそういう話は苦手です。』
パタン…っと、眺めていた製品のカタログを閉じて、帰り支度を始める。
「僕も…妻が初めての彼女でした。それまで恋愛なんてした事がなかったですが…今はとても幸せです。美堂秘書にもいつか、素敵な男性が現れることを祈ってます。」
……余計なお世話です。
小山内秘書は「お先に失礼します」っと、私を置いて一人先に帰ってしまった。ここに居るのが私じゃなく小宮秘書なら…一緒にエレベーターに乗って下に降りていたのだろうか
なんて、考えても仕方がない…私も帰ろう。
秘書課のデスクを離れて、自分も帰ろうと廊下に出た時─…
「─…だーから、悪かったって。仕事なんだから仕方ないじゃん。」
っと、よく知った人の声が聞こえてきたので自然と足を止めてしまった
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