大河の過去

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街はもう目の前になのに、また雨脚が強くなってきていた。 「結は、俺のものだ」 大河の手が伸びてきて、咄嗟に身を避ける。 大河は優しくてかっこよくて、頼りになる存在だった。 それなのに今は怖くて怖くて仕方がない。 死体のフリをすれば助かるとわかっていたのに、毅を殺害したのだから怖くないわけがなかった。 身を避けた結に一瞬大河の目が険しくなる。 しかし、すぐに和らいだ。 「まぁいい。結はもう俺から離れることはできないんだから」 「え……?」 「だってそうだろう? 自分の勘違いで周りをパニックに陥れて、何人が死んだ? ちゃんとした回避方法を知っていれば、誰も死なずにすんだんだ」 「それは……っ!」 言い返そうとしたけれど、できなかった。 1年前、もう少しちゃんと調べていれば。 もう少し色々と試してみていれば、今回のような大虐殺は起こらなかった。 施設内で結が回避方法を教えたりしなければ……! 「大丈夫だよ結。俺は今回のことも1年前のことも誰にも言わない」 大河が今にも倒れてしまいそうな結の肩に腕を回す。

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