智美に呼ばれて

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智美に呼ばれて

「和哉 今日何か予定有る?」  和哉の机の脇に 真面目な顔で八木が佇み聞いて来た 「予定は無いけど 何?」  和哉は八木を見て言った 普段の八木は 名前で呼ぶ事は無い  自宅へ遊びに来た時には 名前で呼ぶが  仕事と分けている 八木が名前を呼んだことに  少し違和感を感じた 「少し 飲みに付き合って」  言い残し、八木は自分のデスクに戻って行った 二人向かい合い ビールのグラスを合わせ 「お疲れ様」  仕事が終わり、最初の苦みが喉を潤し 半分ほどを一気に 流し込んだ 「何か 相談?」  和哉は八木を見ると 目を彷徨わせグラスを空け  追加を頼んでいた 「言えよ それで呼んだんだろ」  和哉も追加を頼み 八木を見つめた 「・・・・・・・・」  八木は二杯目を半分ほど飲むと 「後藤君・・・・」  小さく呟いた 「後藤? 営業の後藤?」  和哉が聞き 頷いた  「後藤がどうしたの?」  「付き合って欲しい・・・言われたの」  和哉は 飲みかけたグラスを止め八木を見た 何時も男達の中で 自分の意見を押し通す八木が  20歳の小娘の様に オドオドとしていた
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