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時は流れて
目覚める前のほんの一時
暗い部屋の片隅に 閉じた目で人の気配を和哉は感じた
暖かい眼差しで見ている
和哉を只 見つめる視線を感じた
輝く瞳の後ろの影を 健気に隠し見つめていた視線
懐かしい 暖かさ 同時に苦い思いも蘇って来た
忘れるために酔えない頭にアルコールを浴びせ
泥酔した覚えも有る
人影は 恨むでもなく 只微笑んでいた
・・・紗那・・・ 思わず頭の中で呼んでいた
起き上り辺りを見回したが 当然の様に寝室は何時もの佇まいを見せ
暗い部屋に朝の薄明かりが影を浮かばせている
隣に寝ている妻を起こさない様に そっと起き上がり
リビングへ お湯を沸かしながら外を見ると 日の出前の薄明かりに
街の屋根はシルエットを見せていた
コーヒーを淹れ街を見下ろし 20年前の
紗那と二人で過ごした時の事を思い出していた
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