彼女の逆恨み

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 大学二年の秋、俺と里香は提出するレポートのことで揉めていた。彼女がAIを使ったらどうかなんて言い出したからだ。 「ダメに決まってるじゃん、そんなの。AIの出してくる回答なんて正確かどうかもわからないんだし、第一そんなことしてたら大学に来てる意味ないだろ」  俺の正論に言い返せなくなった里香は「そんなことわかってるって。何ムキになってんのよ」と薄笑いを浮かべた。その表情に苛立ちが募る。 「いいよ、好きにすれば」 「何よその言い方!」  そこから先はくだらない悪口の応酬。結局その日の喧嘩が元で俺たちは別れることになった。  その後恋人もできないまま大学を卒業して、今はシステム系の会社でエンジニアとして働いている。AIなんてものがなかったら里香と別れることもなかったのかな、そんな風にAIを恨んでみたりすることもある。まぁ、完全に逆恨みだ。しかも皮肉なことに、自分は今AI絡みの案件を担当している。人生わからないものだ。
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