おまけ:その5『同窓会?』

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おまけ:その5『同窓会?』

それは静かな午後のこと。 会計作業に遅れがあり、天王寺と浅見は特別生徒室にいた。 そうそうに処理を終え、浅見のチェックを待つ間、天王寺は無言でパソコンを眺めていた。 しばらくすると、突然デスク画面を両手掴み、破壊する勢いで震えだす。 その異様な光景に、浅見は思わずペンを落としたほどだ。 天王寺が奇妙な行動を見せるときは、間違いなく姫木絡みで間違いないが、このままではパソコンが壊れるかもしれないと、浅見は一応止めに入る。 「尚人、落ち着け」 「落ち着いてなどいられぬ」 「どうしたんだ」 一体何を見ているのかと、浅見は渋々席を立つと天王寺のパソコンを覗き込んだ。 そこにあったのは、『同窓会』の体験談の数々。 まさか、天王寺が同窓会に参加するのかと、浅見の方が息を飲んでしまう。 親しくしていた友人も、先生もいた覚えはないし、そもそもそういったものに一切興味はないはずだった。 だから、 「参加するのか?」 と、呟くように口を出た。 「私ではない。姫が今週末出掛けると申したのだ」 それを聞き、浅見はわずかにほっとしたが、画面に載る掲載文が危険すぎた。 『数年ぶりにあった彼に誘われて、一夜の……』 『初恋のあの人は、とても綺麗になってて……』 『妻とは上手くいっていないと言われて……』 『昔の恋が再び熱く……』 それはそれは、危険な恋模様が無数に書き込まれていた。 つまり、これを読んだ天王寺は、姫木が別の奴と恋に落ちるかもしれないと考えたのだ。 よって、すでに恋に落ちている天王寺の妄想は止まらない。 「行かせるわけにはいかぬ」 見えない相手に向かって、嫉妬心むき出しで天王寺は、低く声を出した。 「そこに女性もいるのか?」 「男友達だけで会うと申しておったので、おらぬが」 「だったら、余計な心配はないだろう」 掲載されているのは、全部男女の体験談。男同士で騒ぐなんて普通だと、よくあることだと浅見は天王寺に言ったのだが、ものすごい勢いで服を掴まれた。 「冬至也は、わかっておらぬ」 メラメラと燃え盛る瞳に見つめられ、浅見は絶対ありえないだろう妄想の世界へと誘われた。
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