空白駅

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小学四年生の冬になった頃、少しずつ光は孤立していった。この頃になると光はだいぶ自我を持ち始め、自分を偽り、装うことに嫌悪感を示し始めた。 刺激を求めている。 そんなことかもしれない。 *刺激*がどういうものなのかはわからない。 光にとって正樹は架空の人物のようになり、やがて意識の中から消えていった。 ただ、いないはずの誰かを追っている。 ドッペルゲンガーでもいるのか それとも夢の中の人か。 そんなファンタジーのようなものでしか例えられなくなる。 少しずつ、本当に少しずつ、光(仮面を被った)は呼吸を浅くしていき、小学五年生になると息を吐くことをやめた。
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