希望駅

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光がアトリエで見つけた考えは数えきれないほどある。 なぜ私は独りなのか なぜ私は馴染めないのか いつもいつも前に進めない。前に進めないから疑問が生じるのではなく、疑問が生じるから前に進めないと気がつけたのもこのアトリエのおかげだ。 ここ三年間を思い出してみる。やはり色がついていない。 どうすればいいの? 誰かに相談できるわけがない。 そうでしょ? 誤解されたり、怠けてるなんて思われたら意味がない。 光(仮面を被った)も死んでしまった。 だが、五年生の冬にもなるとそれでいいのかもしれないなんて思い始めていた。 別に前になんか進む必要はない。寂しいけど誰かと仲良くする必要もない。前じゃなくても左とか右とか斜めとか、別に夢なんてないけれども人と違うなんて案外才能じゃないの? 最初の内は負け惜しみに思えてきたりもしたが、どんどんと光にこの考えは馴染んできた。 しかし残念ながら日々の生活は案外真っすぐには進まない。 小学六年生になると、とある転機が訪れた。
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