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五月中旬
「光はどんな人がタイプなの?」
大翔は堂々として訊いてきた。いや、珍しく少しもじもじとしている。
「うん、うんん」
今までそのようなことは考えてこなかった為言葉が詰まる。
アトリエでたどりついた求めている人について語ることにした。
「私が素の自分をいつでも出せる人。あとついでにイケメンがいい」
後者は人に話す用のいわゆる装飾だ。私の本心ではない。
「え!じゃあ結局光次第じゃん、イケメンはともかく」
「そうか私次第か、でもその私を落とせる人がタイプかな」
初めて誰かとこんな話をした。よく見たら大翔って顔立ちが整ってる・・・
でも付き合うとか愛するとか、そういうのが一体何かわからない、今まであまり考えてこなかったし、やっぱり考えても幻覚に近いもの。で片づけていた。
放課後、アトリエのベンチに座り大翔のことを考えていた。
そして一言看板を見忘れていたことに気がつき、急いで腰を上げた。
「やってもダメだったね。は才能ある」
おじいさんの一言だった。
少しこの一言について考える時間を自分に与えた。
やった方が良かったはダメなのか。
それが結論だ。気分転換をした所で、再び大翔の事を考える。大翔は本当に自分に合う人なのか。告白されたわけでもないのにこんなこと考えるのはおかしい。確かにそうだが、光は今、考えられずにいられない。
別に興奮してるわけでもない、別に好きなわけでもない。
強がってなんかない。
ただ大翔に対する思いは確かに他の人たちとは違う。これはいわゆる・・・
男を見ているらしい。
今まで男というは汚く幼いものだと思っていた。もちろん大翔もこれに当てはまる。
でもそれでもいいのかも、なんて思えてきた。
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