線路上

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結局その日、麻由花は約五百メートル続く幼稚園までのまっすぐな畑道を通り、正樹を幼稚園まで歩いて送った。 ‘‘冬ね‘‘ 麻由花は冬の色を存分に感じた。 「おはよう!!え!?まさきくん来てくれたの!?」 横山先生は幼稚園の正面口で毎日8時から8時半まで登園した園児に挨拶をしている。 「そうなんですよ、なんか行きたいとか言っちゃって」 麻由花は少し自慢気に今日の出来事を話した。 「偉いね~、でもクラスの子たちね、多分5人も来てないよ」 横山先生は笑顔で正樹の頭を撫でた。麻由花は正面玄関にある時計に目を向け、針が8時28分を指していることを確認した。 光ちゃんは来てますか?なんて訊こうともしたが、やはりやめておいた。麻由花はそのまま大人しく、雪景色を楽しみながら帰路についた。 「ああ!ひかり」 正樹は教室に入ると、真っ先に光を見つけた。教室には光の他に二人の男の子がいたが、正樹の目には入らなかった。 「来たんだ」 光のそっけない返しでも正樹には光の心の中はわかっていた。 頭に雪をつけ、ほっぺが赤く染まった正樹の姿を見た光は思わず笑ってしまった。 「寒いしょ」 光は正樹の頭についていた雪を手に取りながら訊いた。 「別に!」 正樹は頭をかきむしながらそっと言った。 窓から見える外はまだ暗く、とても朝とは思えない異様な空気が教室にはあった。非日常感はさらに二人の親密さを加速させていく。 これも一種の北の国の風情なのかもしれない。
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