貴女と僕の傷跡2

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「写真かぁ…写真とかあったっけか…」 アパートの中をゴソゴソと探してみる。 無い。 この頃の私は、自分の容姿に嫌悪感を抱きながらも、自分磨きどころか身だしなみすら適当な上、やっている事は90年代末期に謳われていた、非モテ三種の神器の内二つを制覇しているというくらいな人間だ。 ん? この時代の非モテ三種の神器を知らぬとな? バイク・楽器・パソコン ですよ。 ひでぇよな。 イケメンは除くって但し書きが付くんだろうけどおめぇそんな言い方無いだろうよ。 あたしゃバイク、楽器演奏と制覇しているものの、バンドメンバーの一人で、私の右腕だったギタリストは全部制覇してますからね? それなのにしっかりモテてましたからね? だから結局、その人間力って事っスね。 どうでもいいです。 いや、拗ねてないです。 ほっといて下さい。 ほっとけっつってんだろ。 当時の私みたいに自分に興味の無い人間が写真なんか撮るわけねぇだろうが。 せいぜい高校生ん時撮りまくったプリクラくらいだ。 プリクラ? あぁ、そんなもんあったな…プリクラ… あ、そうかプリクラ! それでよかろう! ん? 盛れちゃうんじゃないかって? アホぅ…90年代末期だと言っておろうが。 盛り機能なんか皆無! それはそれは正直に己の醜さを写し出してくれる。 とは言いながらだ…プリクラを一人で撮影しに行くメンタルは持ち合わせていないな…。 私は前述の右腕ギタリスト、非モテ三種の神器を完全制覇した男に電話をかけた。 深夜と呼べる時間帯だが、フリーター(ほぼぷーたろ)の彼の事だ。 秒で電話に出r 「もしもーし。」 マジで0.5コールで出やがった。 「おぉ、起きてたか?」 私はいかにも気を使ったんだぜ風のセリフを吐く。 「あぁ。今ちょうどビール一缶空けたところだよ。どした?」 「おぉ、飲んじまったか。暇か?って暇に決まってるよな?」 私はぷーたろである彼を見下しつつ話を続けた。 「プリクラ撮りに行かね?飲んじまったんなら車出すからよ。」 「プリクラ?俺と?まぁいいよ。お前さえ良けりゃ付き合うよ。お前さえ良けりゃね?男二人のプリクラってかなり気持ち悪いけど大丈夫か?」 「ね、確かにね。そりゃ美男子二人なら絵にもなろうけど…で、どう?アレならすぐにでも行くけど?」 「うん、んじゃ来てもらおか。」 というわけで深夜のプリクラ撮影非モテ二人旅が決定した。 その道中で意外な事実が判明するのだった。
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