貴女と僕の傷跡

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美結からの私書箱投稿から数日、何故かは分からないが調子が良い。 私の溢れんばかりの承認欲求が満たされたからか? それは認めたくなかった。 私のよく分からない抑うつ状態が承認欲求不満というのが原因だとは思いたくなかったからだ。 しかし、その妙なプライドを捨てろと言わんばかりに私のメンタルは絶好調だった。 美結からの音沙汰はしばらく無く、私は今までの分を取り戻さんと仕事に、音楽にと打ち込む日々が続いた。 「じゃあ、明日リハーサルがっつり朝までやろうか。」 「あいよ。昼しっかり寝とくわ。」 「いや、ちょっと深夜から朝までってテンション上がるな。」 「久しぶりだからね。深夜練って。」 「眠たくなっちまうかもな。」 週末、0時から朝6時までのリハーサルを計画をしていた。 その前日、ファミレスでメンバー達と食事をしながらそんな話をしていた。 「じゃ、俺先上がるわ。なんか急に眠くなってきちった。お疲れ。」 私は眠気に襲われ、メンバーにそう告げると、先に会計を済ませて帰路についた。 「最近しっかり眠れて調子良かったんだが…。なんでまた急にこんな眠くなんだ?」 私は車中で眠気を誤魔化す為に、煙草に火を点けた。 「美結さん…か…」 煙草の煙を吸い込むと、急にすっかり忘れていた美結とのやり取りを急に思い出す。 そして無性にHPを見たくなった。 こまめに更新していたのだが、なぜかこの時見なければならないという衝動に駆られビールを買いがてらコンビニに車を停めた。 煙草を消し、携帯電話でHPを開くと、私書箱に投稿されているサインが出ていた。 「美結さん…?」 私は心地良い心のざわめきに息を荒くして私書箱を開くと、そこには美結からの投稿があった。 「Flare Fieldさん!お元気してますか?なんだか調子いいみたいですね!嬉しいな。日記も毎日更新してくれてホント嬉しいです!前みたいに楽しい日記で読んでるとなんか私も元気になっちゃった!」 相変わらず女の子らしい文面だ。 そして驚いた事に投稿時間はまさにファミレスで猛烈な眠気に襲われて、帰ろうとしていたタイミングだ。 私は焦り、すぐに返信をした。 『ありがとうございます!なんだか美結さんからの私書箱投稿読んでから調子が良くて…なんか凄い元気になっちゃいました。本当にありがとうございます!』 返信を投稿してすぐに私は焦りだす。 「やべ…なんか…スゴい…直接的な表現になっちったかな。引かれるかしら…大丈夫かな。」 恋愛経験の少ない当時の私はこんな事を気にしてしまうような人間だった。 こんな事考えてりゃ奥手奥手になってそりゃモテんわな。 外見もアレな上にこれじゃぁのぅ…。 すぐに美結からの返信が来た。 今のSNSとは違い、確か通知とかは無かったはずだ。 だから美結はずっとHP見て、私からの返信を待っていた事になる。 そう思った瞬間私は美結という声も顔も知らない投稿者に対して恋心が芽生え始めた
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