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予想外の舵取りに困惑する類人に「全部類人さんが頑張ってきたからだよ。僕も本当に嬉しい」と言って、ルナールは二人で連載を持つことになった雑誌のアンケートを楽しそうに埋める。周囲からはデビューも秒読みなのでは、と囁かれはじめていた。
ルナールに選ばれてから、全てが順調すぎた。
今まで浪費してきた時間はこのためにあったのかもしれないと思うほどの幸福を類人は享受している。
そう、享受だ。自分の力で掴み取ったものではない。
全てルナールが齎した奇跡で、そこに胡坐を掻いているだけでは自分が目指す場所に辿り着けないとわかっているからこそ、類人は焦った。
このままデビューして、ルナールの光を浴びて輝く存在になってしまったら。それはもう、自分の力で輝く恒星ではなくなってしまう。
そして単身日本に降り立った住所不定のルナールが類人の犬と呼ばれるようになり、一階に花屋を構える3LDKの四ノ宮家に居候し始めてから季節が一巡しようとしていた十二月のとある日。
雑誌の撮影が終わった移動車の中で、ルナールは唐突にまたあの言葉を囁いたのだ。
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