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Track 5. 一番星
先輩のバックダンサーとして呼ばれたテレビ局の廊下を歩いていただけで関係者の目に留まり、世界的な有名コスメブランドのモデルに選ばれた芸能界の至宝、ルナール。
おこぼれで同じ仕事を貰ったと密かに思い悩んでいるシンメの類人と一緒にイメージビデオの撮影を終えた帰りの車の中で、彼は独り言のようにぽつりと呟いた。
「類人さんは、僕の一番星なんだ」
それは、初めて会った日にも言われた言葉。
街の光を車窓越しに眺めながら夢うつつに語る表情は夜明け前の残星のように儚く綺麗で、類人は自分について語られていることに全く現実味が沸かない。
仕事が一段落してあとは家に帰るだけだった二人は、多嘉司が運転する車から降りて少し歩くことにした。
先週初雪を観測した東京は空気が肌を刺すように冷たい。
日付が超える直前で、人通りもまばらになった街中を二人で歩く。幸いにも今話題の芸能人だと気づいて振り返る人はいなかった。
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