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最終話.それから
その後、アリスは殺人と死体損壊の罪で逮捕された。しかし、エドワードの特殊な事情が考慮され、執行猶予が付いた。
アリスは、エドワードから引き継いだ財産を元に、食堂を開いて細々とその後の人生を送って行った。生涯に渡って、結婚する事はせず、エドワードへの想いを貫いたままだった。
カイルの製薬会社は、エドワードに投与した不死の薬の効果を失敗作として、その後は不老不死の薬の研究を進めて行った。その薬は、エドワードが死んだ時点ではまだ完成されていない。
しかし、エドワードのこの非業の死を受けて、イギリスでは不老不死の薬そのものの研究を禁止する法律が出来た。カイルが目指した薬は、ついに完成する日を失ったのだ。
アリスは、エドワードから聞いた沢山の話を、彼の生きた記録として本に纏めようと考えている。悲しいエドワード、可哀想なエドワード。
百四十二年の虚しい人生を送った老人の事を、世間がたまには思い出してくれるように────。
────了
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