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転送魔法を重ね、フンダイに再びやって来たユーリウス達。
「・・・こ、ここって・・・フンダイ宮殿だよな。何故?。俺てっきり
フンヴォンの実家にでも行くのかと思っていたからな。」
驚くユーリウス。大陸神エイジャンの代わりにフンヴォンが答える。
「いや、間違いではない。俺の家は宮殿の敷地内にある。元々マヤウは王の
乗り物なんだ。」
「王家御用達って事か。なるほどね。」
「そういえば、あれからエイジャンの地はどうなった?。まだ一触即発の
状態なのか?。」
ユーリウスは大陸神エイジャンに訊ねた。
「今はブラウマン王国国王ヴィンドゥーの呼びかけで停戦状態を保って
います。今の所目だって大きな争い事はありませんが、完全に安心できる
状態ではないのは確かです。」
「まあ、なんとか・・・。ハビロの塔を崩壊させたのは正解だったって
事かな。」
「そうだな、後はこのまま永久に争い事は起こって欲しくはないがな。」
ユーリウスはフンヴォンの家に向かいながら少し考えた。
「そう言えば・・・何故このエイジャンは争い事が絶えないんだ?。確かに
人が増えれば文明も起きるが、その分争い事も増えるだろう。しかし、この
エイジャンでは他よりもなんか多い気がするな。」
「やはりそう思うのですか。」「ああ・・・。」
大陸神エイジャンは話し始めた。
「この大陸は複雑な地形ゆえ外部との接触か殆どなく、それぞれの民族で
独自に文化を発展させていったからでしょう。その分、物の考えや環境などの違いで大きく理想とするものが異なっているが為、争い事絶えないのかも
しれません。」
「何者だ!!。」
一人の兵士らしき男がユーリウス達を見つけて叫んだ。「おっと。」
侵入者の発見という事か。ユーリウス達はあっという間に兵士に取り
囲まれた。息を呑み、剣を構えるユーリウス。「待たぬか!!。」
現れたのはフンダイの王アン・ズィオン・ブゥオン。咄嗟にユーリウスは
オルケルタを庇う。
「・・・フンヴォン・・・か?。」
王のそばにいた一人の男が声を掛けた。「・・・父さん。」
フンヴォンは呟くが、ユーリウス達の側から離れない。
「フンヴォン。大陸神エイジャンより話は聞いた。戻って来ては
くれんのか?。」
しかし、フンヴォンはすぐに駆け寄らず、ちらりとユーリウスを見た。
しかし、ユーリウスは目も合わせようとしない。やむを得ずフンヴォンは
一歩、また一歩と父親に近づいた。
「・・・な、何っ!!。」
王の側にいた兵士達が一斉にフンヴォンを取り囲んだ。
「・・・や、約束が違う!!。王。フンヴォンには手を出さぬと・・・。」
フンヴォンの父親は王に食って掛かろうとした。
「残念だったな。フンヴォンは私を裏切った。それは私に、いや、この
フンダイ王国に対する反逆だ。そして奴を庇おうとした父親である
ロンブフォン。そなたも同罪だ。」
「な・・・なんだって!?。」
兵士達はロンブフォンまでにも槍を突き付けてきた。
「父さん!!。」フンヴォンは父親を庇おうとする。ユーリウスと
ジルカメスは武器に手を掛け、二人を助けようとした。
「お待ちなさい!!。」
大陸神エイジャンの声が響き、
「約束を違えるつもりですか。フンダイ王アン・ズィオン・ブゥオン。」
そう言いつつ皆の前に姿を現した。
「・・・。」
「あなたがフンヴォンの罪を問わないと約束したからマヤウはあなたに
返したのです。けど、約束を守れぬのなら、私にも考えがあります。」
大陸神エイジャンは目の前にマヤウと二羽の雛を出現させた。
「・・・マヤウ!!。」フンヴォンは駆け寄ろうとした。
「近づいてはなりません。」エイジャンは厳しい口調で叱咤した。
「マヤウを、どうするおつもりか?。」
「この戦乱の中、生き残る為と言いながら、他国を出し抜く為に怪鳥マヤウが必要なのでは?。そしてマヤウが居るが為にフンダイ王は善からぬことを
考えるのではないですか?。そして、今度はフンヴォンを失脚させ、自分の
手足としてマヤウを操れる者を手元に置こうとなさるのですか?。
ならば・・・。」
エイジャンは祈りを込める。
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