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そのあと、宮くんと二人で学校を出た。
夕焼色にそまった町の中を、他愛のないおしゃべりをしながら歩いてゆく。
となりを見上げると、すぐ近くに宮くんの笑顔がある。
そのたびに、私はドキッとしてしまった。
はじめてできた、男の子の友達。
恰好よくて、頭が良くて、優しくて。それから、ときどきすごく可愛くなる。
でも私は、宮くんのことをまだ全然知らない。
趣味も、好きな色も、誕生日も。
「宮くんのことをもっと知りたい」という気持ちが、私のなかで、一歩を踏み出すごとにふくらんでいった。
もうすぐ六月がはじまろうとしていた。
宮くん、猫にならないで!(終)
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