18人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕が生きている意味なんて、君を守ることくらいしかないからさ」
「え? え……?」
生きている意味が、私? そんなこと言われるとは思っていなかった。じゃあ私がいなくなったら彼はどうするんだろうか。
「え、じゃあ……私がいなくなったらアベルさんはどうするんですか?」
「うん? 死ぬかなあ。だって生きている理由がないし」
「どうして!?」
本当に「どうして!?」だ。彼にとって私はそんなに重要な存在になっていたのだろうか。彼の命を左右するほどに?まさか。
「だって春蘭がいなくなったら朝起こしてくれる人もいないし」
「朝は自分で起きてくださいよ!?」
「それに、契約したじゃないか。この花に誓って君を守るって」
差し出されたのは枯れたヒガンバナ。ああ、まだ持っていたのか。枯れた花に価値はないのに。それだけ大事にしてくれていると言うことだろうか、この花も、あの時の契約も。
「だから、君がいなくなるなんてことは有り得ないんだよ」
彼はそう言ってふわりと笑う。そんなふうに笑わないでほしい。私に守る価値など本当はないのだから。あの言葉は、自分を守るために出た咄嗟の言葉なのだから。感じるのは罪悪感。ただただ、罪悪感。
最初のコメントを投稿しよう!