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皿を洗って片付け、リュックに入れてそれを背負う。最初はアベルさんが荷物を全て持っていたのだが、これくらいは私だって持ちたい。
「今日の目標は街を見つけることです! 川の近くには集落があるはず! それを見つけます!」
「うん、わかったよ。いるといいね、人」
「そうですね!」
私たちの旅の目的は人を探すことだ。私たちのように天罰――神の裁きから逃れた人物がいないか探す。それが私たちの目的だ。
私たち、というよりは私の目標なのだけれど、アベルさんもそれに賛同してくれて、私たちはこうして一緒に旅をしている。まあ、それ以外に一緒にいる理由もあるのだけれど。
歩く、歩く。どこまでも広がる草原、その景色を見ながら。川に沿って、歩く、歩く。アベルさんと私の歩幅は違う。もちろん体力も違う。それでもアベルさんは私が遅れていると待ってくれるし、時には重い荷物も二人分持ってくれる。とても優しい人だ、と思う。私は今まで男の人が少し苦手だったけれど、何故かアベルさんはそんなことはなく、むしろ好意を抱いているほどだ。
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