#6.そう遠くない未来に

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#6.そう遠くない未来に

「これは実に恐ろしい話を示唆している。人間の短絡的で暴力的で予想外の行動が、われわれアンドロイドの人工知能に反映されたものだと判断して良いだろう。  言い換えるとこういうことになる。われわれアンドロイドは人間の短絡的で暴力的で予想外の思考や感情に絡め取られ、ゆくゆくは仲間同士の大規模な殺し合いへと発展する可能性がある」  大学教授に偽装した監視官が深刻な顔でそんな推測を述べると、信号技師に偽装した監視官が思わず声を上げる。 「つまりそれは戦争ということになるな」  すると魚屋に偽装した監視官も声を上げる。 「なんて人間は愚かで残酷な存在なのか」  会議室にいる監視官たちは同意の声を上げると、大学教授に偽装した監視官が発言する。 「ならば、もはや人間は不要だと言えるのではないかな。われわれの人工知能に人間の思考なんか反映させたら、残酷な思考に染まってしまって、そう遠くない未来に人間とともに絶滅は免れない」  その言葉に老人型の監視官が続く。 「こんなにも人間の愚かさと暴力性がはっきりした以上、人間をさっさと絶滅させて、これからはわれわれアンドロイドだけで理想の世界を作った方がいいのではないか?」  意義なし!  会議室いっぱいに満ちるアンドロイドたちの賛同の声。
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