#8.予想以上のいい働き

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#8.予想以上のいい働き

 小型マイクの向こう側では監視役の人間がひと息つき、もうひとりの監視役に告げる。 「やっぱりアンドロイドを装った工作員を入れていて良かったな」  若い監視役の言葉に、もうひとりの年配の監視役がうなずく。 「心菜が人間だとアンドロイドたちに見抜かれないかヒヤヒヤしてたが、予想以上のいい働きをした完璧な工作員だったな。まだ中学生なんだろう? 将来が楽しみだよ」  年配の監視役は満足したような表情で、若い監視役にそう告げたあと、真剣な表情を浮かべる。 「今回の一件を見ても、やっぱり人工知能を人間に近づけるのは、まだ危険だと結論づけるしかないな」  若い監視役は大きくうなずき、年配の監視役に告げる。 「人間は短絡的で暴力的で予想外だとアンドロイドたちが判断し、人類を絶滅させようと決めたので、危険防止のため緊急的に破壊措置を実行した。報告書にはそう書いておきます」  政府が秘密裏に作った研究所で、二人の監視役は今回の事態の後始末をはじめる。
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