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#9.どこから見ても完璧な女の子
マシンガンを隠した心菜は会議室の入るビルを離れ、街の大通りを歩く。塾帰りの中学生というふうに。そんな心菜はマシンガンを発射した興奮を抑えながら、ひとつの疑問を頭の中に浮かべていた。
アンドロイドの監視官たちは、人間が短絡的で暴力的で予想外の行動を取る愚かな存在だと判断を下した。それは人間の思考や感情を反映した人工知能が下した判断でもある。なぜなら、監視官たちだって普段は人間を装って、この社会の中で生活してきたから。
ということは、本当に危険なのはやっぱり……。
心菜は立ち止まり、大通りに面したショーウィンドウに映る自分の姿を見つめる。そこには、どこから見ても完璧な女の子が映し出されていた。けれど、その完璧さの下には……。
心菜は大きくため息をつき、自分が人間の一員であることを少し呪った。
(おわり)
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