あなたと話がしたいから 〜茶座荘の日常〜 7

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「……あれ、今日もだ。なんでだろう」  業務終了後、俺はパソコンの画面とにらめっこをしていた。 「どうしました? なにか不具合でもありますか?」  横から画面を覗き込んできたのは保人さんだった。俺は個人の健康管理データを指さす。そこには、日毎の取得データが並んでいるのだけれど、1人だけデータが歯抜けになっているものがあった。 「早乙女さん、血圧のデータだけ取れていない日があるんだ。それ以外は取れてるし値にも問題ないんだけど」 「本当だね。確か早乙女さんの家は立地の問題もあってwifiが入りづらかったんだよね。高梨くんに連絡して確認してもらうよ」  翌日、昼過ぎに高梨さんがメンテナンスを終えて報告しに喫茶室へ来てくれた。 「通信速度は若干遅めですけど、タイムアウトするような速度じゃないし問題なさそうでした。データ見る限り、勝手に再起動かかっているみたいにも見えるんです。すみませんが、もう少し様子を見てもらえますか?こちらでも機器に問題がないか調べます。 ……え、このカレー激ウマじゃないですか」  高梨さんは喫茶室唯一のランチメニューの日替わりカレーがいたく気に入ったらしく、「次来る時も昼にしようかな。次は大盛りがいいかも」などと呟きながら帰っていった。
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