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早乙女さんのロボットだけ頻繁に再起動……それがどうしても気になって仕方なかった。愛那曰く、最近早乙女さんは毎日のようにここの喫茶室に足を運ぶようになっているらしい。
友達と一緒にお茶をすることも多いけど、1人で来てお茶を飲みながらぼーっとしていることも多い。確か以前は家でお気に入りの紅茶を飲んで過ごすのが好きだって言ってたはずなのに。そんなにここのお茶? 雰囲気? が気に入ったのだろうか。
数日後、愛那が気になることがあるからと、1人でやって来た早乙女さんに思い切って聞いてみた。
「あの……早乙女さん、ロボットが家にあると落ち着かないとかありますか?」
ロボットは家にいる人の行動を観察しているので、家にいるときは常に少し後をついていく。何をするわけでもないので特に気にする必要はないんだけど、人によっては煩わしいのでは? と思ったかららしい。だけど早乙女さんは笑って答えた。
「そういうわけじゃないのよ。愛那ちゃんの作るカステラが美味しいから食べに来ちゃうだけなのよ。……ねえ、私最近アラートとかってあがってないわよね?」
確かに、最近早乙女さんのアラートはほとんどあがらなくなっていた。だけど、代わりにデータが取得できない日が未だに続いている。
「そうですね。ほとんどあがらなくなりました。……あの、早乙女さん。あのロボット、不具合とか起こしていないですか?」
愛那の問いかけに「特に無いと思うけど」と首を横に振るばかりだ。俺は戻ってパソコンを開き、管理画面を開いた。今日も血圧の値は空白で、それ以外は数字が埋められている。
愛那が俺に耳打ちしてきた。愛那なりに原因を考えていたようだ。俺は流石にそれは……と否定したかったが、確かめる価値はある。そこで保人さんと一緒に早乙女さんに声をかけた。
「早乙女さん、今日これからお宅にお邪魔してもいいですか? ここにいる窪田と私の2人でお伺いしたいんですが」
最初は難色を示していた早乙女さんも、帰る途中で水のペットボトルを買って帰りたいといったので、買い物のサポートがてらお邪魔することで了承してもらった。
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