あなたと話がしたいから 〜茶座荘の日常〜 7

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「あなた達のせいなのよ。こんなロボットが余計な情報渡すから、娘とは喧嘩ばっかり。ちょっとでも数値が悪いと病院行けだの薬ちゃんと飲んでるのかだの。あの子私を施設に入れようとしてるのよ。体調管理ができないなら1人で暮らすのは無理だ、そう言いたいのよ。私は主人と過ごしたこの家で最後まで過ごしたいのに!」  泣き崩れる早乙女さんに駆け寄ると、肩を抱いて優しく話しかけた。 「一度娘さんと話し合いましょう。このロボット自体は悪いものではないんです。使う側が正しく使いこなせばとても便利なものなんです。娘さんの気持ちちゃんと聞いて、早乙女さんの思いも聞いてもらいましょう」  その場で娘さんに電話をかけて、翌日会いに来てくれることを約束して俺達は家に帰った。とりあえず現状報告を、と保人さんにお願いして高梨さんへ取り次いでもらう。 「先日の、データが登録されていない原因分かりました。早乙女さん、都合の悪い結果が出た時ロボットの再起動をかけていたんです。あの家は通信速度が遅いって言ってましたよね。登録に5秒程かかる。その間に電源ボタンを押して再起動かけてデータを強制的に消去していたんです。 最初にロボットを導入したとき、ネットがうまく繋がらなくて担当の方が何度か設定をいじっては再起動、を繰り返していたそうです。それを見て、都合の悪いデータが出たときだけ再起動をかけていたとのことでした。明日ご家族と話し合いをするので、もう再起動はかからないと思います」
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