ありがとうの軽重

1/1
前へ
/1ページ
次へ
ここは僕が払っとくから。「ありがとう」「ありがとう」 僕ってもしかして良いやつの代表なのかも。今日も何回もありがとうと言われたぞ。僕は自己肯定感は高くはないが、時々僕も調子乗る時がある。それは誰しもがその可能性があるかもしれない。 交差点、歩行者通路に信号を待っていた。もうすぐ赤になりそう。青信号は点滅している。その時、杖をついたおばあさんがまだ渡りきっていなかった。僕は気づいたが大丈夫だろうと思った。 人混みの中から主婦らしき女性が小走りでおばあさんに近づいて、手を取り誘導した。信号が変わる前に渡りきったみたいだった。僕の近くにきた。 「ありがとうね」 不純のないありがとうだった。僕ははっと気づいた。あれは本当のありがとうだな。ありがとうに軽重は感じているわけではないが、その出来事でふと蘇った。あのありがとうを言われるくらい頑張りたいなと思った。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加