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いや──泊まりを決行したとして、あんな頼みを聞くべきじゃなかった。たとえ三科家の人間からどう思われようと、あれに触れるのはやめたほうがいいと、これ以上欲を持つのはやめるべきだと、一言でも進言していればよかった。
言ったところで、聞き入れられたとは思わない。だけどもしかして、万が一にも思い留まった人がいたかもしれない。そうすればあんな惨劇に巻き込まれず──知りたくもなかった事実を知ることもなかったかもしれない。
あの、墓銘のない墓にさえ触らなければ。
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