弐拾伍

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 普段の優斗からは考えられないくらい速い。なにかに背中を押されているように走る優斗に対し、俺たちは何度も転びながら、這うようにして三科家に辿り着いた。  玄関に向かう中、否応なく信じられないものが目に飛び込んでくる。  倉庫が。  俺たちが二度目にあの墓に向かった頃、武さんたちを焼いていたはずの倉庫が。  全焼し、崩れた木材が火を燻らせていた。 「……なんで。大輔さんたちが火の番、してたんじゃ」  俺の疑問に、賢人さんは答えない。  ただまっすぐ玄関を上がり、脇目も振らずに祭壇のある部屋に入って。  そこに立ち尽くしている優斗と。  干からびた、二人分の死体を見た。 「──父さんと母さん、だよね」  崩れるように座り込み、汚れた床で手を伸ばす。  優斗の言葉に驚いたのは俺だけだ。 「そうだ」  絞り出すようにそう言って、賢人さんも床に座り込む。 「昨日──車に乗り込んでから、大輔さんから連絡があったんだ。桜姉さんと孝太さんが、三人と同じように亡くなったって。……君たちに見せないように、今日は僕の家に泊まってほしいとも書かれてたよ」 「だったらなんで、大輔さんたちまで」
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