弐拾漆

7/9

45人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
 いくつか質問が続き、優斗は淡々とそれに答える。  少しでも三科家を侮辱するような言葉を出しそうになれば、優斗はすかさず目をとがらせた。そのため宮野は言葉を選び直すことにはなったものの──取材そのものは順調に進む。 「優斗くん。君の友人だった陸くんはどんな子だった?」 「面白い奴でした。元気で、人見知りしない。転校してきた俺に、俺に最初に話しかけてくれたのも陸です」 「他人に対して攻撃的なところはなかった?」 「え?」 「学校のお友だちにもいろいろ話を聞いたんだけどねぇ。そしたら、数人から話が出たんだよ。陸くん、君と仲良くなろうとする奴がいると邪魔してきたって。それで少し問題もあったらしい」  その言葉に呆然とする。  優斗の中の陸は、いつでも優斗にとって楽しい話を提供してくれる友人だった。売られたケンカは買うタイプで、クラスメイトと衝突するところを見たこともあったが、基本的には優しい人間だと思っていた。  しかし確かに、優斗が誰かと買い物に行ったりしたら──その相手はそれ以降、二度と一緒に行動してくれなくなっていた。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加