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頭を掻きむしり、抱え込み、なぜこんなことになってしまったのかと涙が出てくる。それを哀れみの表情で抱きしめ、友理奈は心底同情したように頬をすり寄せた。
「かわいそうに、ごめんね。本当にごめんなさいね。こんなことになるならあの日、大輔くんにお願いなんてしなければよかったんだわ」
抱きしめられながら、優斗はじんわりと髪が濡れていくのに気がついた。
泣いている。なぜ?
後悔して。なにを?
三科大輔にお願いをしたから。それはなんだ?
優斗が顔を上げたことに気付き、友理奈も正面から優斗を見る。後悔を示すように眉尻が下がった表情で唇を噛んだ友理奈は、落ちついて聞いてちょうだいと口火を切った。
「こんなことが起こらなければ、きっと一生、優斗くんと陸には話さないつもりだったことよ」
この切り出しで、優斗はその内容を予感した。
「……陸が三科家の子だって、知ってて育てたんですか?」
問いかけに、友理奈は静かに頷く。
「俺がどこで生まれた、誰の子どもかも、知ってるんですか」
再び、頷く。
「先に結論だけ話しましょうか。──優斗くんはね、本当はうちの子」
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