弐拾㭭

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「この企画の大元って私じゃない。あなたがプレゼンするなんておかしいわ。せめて連名にすべきでしょ? じゃなきゃあなたが私の企画を横取りしたって、人事に言いつけるから」  幼児期から社会に出るまで一貫し、友理奈はなんでも欲しがった。  駄菓子から私物、恋人、名誉に至るまで、欲しいと思ったものは手当たり次第だ。しかもそれをほぼ確実に手に入れてしまうことから、他者から疎まれる反面、羨ましがられることも多かった。  その中で、誰かが言った。 「友理奈って、もしかして三科って家の親戚だったりする?」  小馬鹿にしたような言い方だったと思う。しかしそれすら意に介さず、友理奈はその言葉に瞬いた。 「三科ってなに?」 「知らない? 山奥に住んでるお金持ちなんだけどさ、座敷わらしが家にいるんだって。欲しいものがあったら全部、座敷わらしが持ってきてくれるらしいから、なんでも欲しがっちゃう友理奈も、もしかしたら……」 「え、なにそれ最高じゃない!?」  嫌味を遮り、友理奈は目を輝かせた。
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