弐拾㭭

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 友理奈はなんでも欲しがる。ねだれるものも、奪えるものも、かすめ取れるものも、欲しいと思ったものは手段を問わず手に入れてきた。  その友理奈が、欲しいものはすべて持ってきてくれる座敷わらしの話を聞いて、なにを思うか。  ──答えは明白だった。 「ねぇねぇ、三科さんちって校区で言えばどの辺りにあるの?」 「同級生だった子とか、誰かいないかな」 「噂とかでもいいから、なんか教えてよ」 「ねー、三科さんって人知らない?」  三科家に関する情報なら住所、家族構成、噂話までなんでも集め、稲本家に嫁いでからもそれは続いたらしい。  知り合うことさえできれば、そのおこぼれに預かれると睨んでのことだった。  そして結婚して数年。友人のツテでついに、当時新婚だった大輔と顔を合わせる機会を得た。   ■   □   ■  その話を聞いた頃には、優斗はすっかり友理奈の話に聞き入っていた。 「……まさか陸のお母さんは、父さんと……っ!? じゃあ俺は二人の……!」 「違うわ、あなた大輔くんの遺伝子と一致しなかったって言われたじゃないの。話を最後まで聞きなさいな」
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