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本来なら、友理奈こそがそのポジションに収まりたいと思うのではないか。
そんな疑問ばかりが頭をよぎっていく。
──ともあれ、優斗に本当のところなど分かるはずもない。
「陸」
陸の書いていた日記に触れる。
「俺と仲良くなることが、おばさんにほめてもらえる手段だと思ってたのかなぁ。俺との関係が全部嘘だったとは思わないけど──きっとおばさんのこと気にしてた部分だって、たくさんあったんだよな。……陸は、自分がお母さんに大事にしてもらえてないって、いつから気付いてたんだろう」
言いながら、優斗は顔を歪めた。
唇を噛み、俯く。見えるのは自分の足先ばかりだ。
自分の足、だけのはずだった。
「っ!?」
──優斗に向き合うように、汚れた素足が見える。
泥だらけと言うほどではない。けれど痩せていて小さく、幸の薄い足だった。
全身が強ばって、前を向くこともできない。その足の正体を、足の持ち主を直視することもできない。
前を向けば、直視するのはナニなのか。賢人を始め、三科家の人間が死の直前に目にしていたと思しき座敷わらし、豊なのか。それともほかの、ほかのナニカの足なのか。
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