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 驚きすぎて、握っていたシャーペンの先から芯がポキンと音を立てて折れ飛んだ。  陸とは、俺の名前だ。 「……夏休みの半分も? え、いいの?」 「うん、うちは全然問題ない。じいちゃんたちにも許可はもらったし、歓迎されるんじゃないかな」 「じいちゃんたちって──もしかして俺、本宅に招待されてる?」 「そうそう、本宅。座敷わらしが出るほうの家。……小説のネタにできるだろ?」  にんまりと笑った優斗に、俺は思わず歓声を上げそうになった。  優斗は普段、学校に近い一軒家でお母さんと暮らしている。別に親が離婚しているわけじゃない。本当の自宅が遠すぎて、家族の管理している家を一時的に使っているんだそうだ。  優斗の本宅はここから、車で片道三十分以上走った山の中にあるらしい。以前あった分校に通っていたときも、通学は車で送迎されていたと言っていた。  今も旧分校生には送迎のスクールバスが出てるんだけど、なにせ中学校だ。部活もあれば、帰宅前に友人の家に遊びに行くことだってある。バスの発着時間に合わせてスケジュールを縛られるなんて冗談じゃないと、中学生らしい文句を言った優斗のための家だ。  うちも貧乏ってわけじゃない。だけどこういう話を聞くと、なんだか別世界のようで現実味がなかった。
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