神様のチケット ~秋山ヴィオラは、窓際でまどろむⅡ

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>いつも練習を見に来ていた小鳥ちゃんだよね? >二人で会いたい。大事な話がある。 >返事が欲しい。時間がないんだ。 >やっぱり無視? 僕が嫌いだったかな ……  悲壮感が募る内容に驚いた。最後のメールは昨日の夜。 「明日、日本代表の試合を見てから空港に行きます。迷惑じゃなかったらスタジアムの北ゲートに来てください。一緒に試合を見たい」 >私驚いて、バス乗り継いでここまで来たんです。だけど彼が来なくて。返事のメールも未読だし  小鳥はまた、涙をふく。  その時、轟くような大歓声が聞こえてきた。 「ひょっとして……日本がトライを決めた?」  体を浮かしかけた。だけど小鳥は何も反応しない。  そうか。  小鳥は、この歓声に気づけないんだ。  いま耳が不自由な小鳥の頼りは、あたし一人。  なのに、たかだかラグビーの試合一つを気にするなんて。  あたしはポケットのチケットを握りつぶす。 ―小鳥。芦乃原から来る電車が止まったの知ってる? 「え?」と驚いた表情を見せる。やっぱりか。 ―彼、遅れて到着したのかも。もう一度、捜そう!  あたしは小鳥の手を取り、スタジアムの通路を走った。
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