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──果たして私という女は夫におんぶに抱っこで一生を過ごすのに満足出来るのだろうか?
「一緒にシャワー浴びてくれないならこのまま続けます」
「んっ」
考え事をしていた体に駿河さんからの容赦ない愛撫が続く。首筋を嘗め回していた駿河さんの舌はいつの間にか露わになった胸の頂に移動していた。
刹那、その舌遣いにゾワッとした。
(えっ)
ペチャペチャと嘗め回される温い感覚がとても不快なものとして私の中を駆け巡った。
(な、何……これ)
駿河さんとは以前一度だけ経験していた。その時は今みたいな不快感はなく、悪癖である匂いセンサーにも特に問題はなかった。──それなのに
(や、やだ!)
何故か突然駿河さんにされていること全てが嫌悪の対象になっているのに気が付いてしまった。
匂いではない嫌悪感。何故今になってそう感じるようになってしまったのか──
(それは……きっと……)
「ごめんなさい!」
「えっ」
覆い被さっている駿河さんの体を力一杯押した。私の予想外の行動に駿河さんは唖然とした表情をしていた。
「あの……ごめんなさい」
「沖野、さん?」
「私……お受け出来ません」
「え」
「駿河さんとはお付き合い、出来ません」
「……どう、して」
「……」
「君は好きでもない男とこういう事をするの?」
「……」
駿河さんが言っているのは多分今のこの現状ではなく、以前あった行為についてだろう。
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