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(あの時はまだ……)
駿河さんともそうだったけれど、他の男とも割と何も考えずにセックスして来た。
春菜と共に合コンに繰り出しては少しでも気の合った男はお持ち帰りした。
(私はそういう事でしか愛せる人を見つけられないと思っていたから)
「何か理由があってそんな事を──」
「玉の輿狙いでした」
「!」
今までのしおらしい態度を改め、ここに来て初めて素に近い自分を曝け出した。
「ごめんなさい。本当は駿河さんが社長の息子だって知ってて体の関係を持ったんです」
「……」
「私、そんなに好きな人じゃなくても寝られる女で、今までにも結構な数の男とセックスして来ました」
「……」
「でもよく考えたら面倒臭くなって……私なんかがセレブな駿河さんの彼女、ましてや奥さんとかになるなんて考えられなくて」
「……」
「駿河さんにはもっと似合う女が現れます。私みたいな阿婆擦れのことは忘れてどうか育ちのいいお嬢様と結婚してください」
「……」
「今までありがとうございました。──それじゃあ」
ベッドの上で身動きひとつしなくなった駿河さんを横目に素早く着替えてそのまま足早にスイートルームを後にした。
(あぁ……なんで……なんでなんで!)
ホテルを出て帰路に着く間中、頭の中を駆け巡るのはそんなことばかりだ。
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