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「あんたが好き勝手すればいいって言った男と食事してホテルに行ったわよ」
「はぁ?!」
「告白を受けようと……付き合おうと思って誘われるままセックスしようと思った」
「~~~芳香ぁ!」
明登は怒りの表情を浮かべながら右手を振り上げた。
叩かれる! ──と思ったけれど、振り上げられた掌は私の頬には下ろされなかった。
「な、何よ……」
「……」
「そんなに怒るなら……そんなに嫉妬するくらいなら最初から付き合えとか言うな!」
勢いのまま明登をソファに押し倒した。そして胸ぐらを掴みながら素直な気持ちを吐き出した。
「あんたのせいで……あんたの……あんたがっ」
「お、おい」
「今になってあんたが私の前に現れたりするから……あんたがわた、私の理想そのままで現れたりするから!」
「芳っ」
「あんたのせいで私、玉の輿に乗り損ねたんだからね!」
「!」
「……責任、取りなさいよ」
「……」
「こんなにもあんたに溺れさせた責任、取りなさいよ!」
「……」
「いいこと? あんたが30になった時、私は38。あんたが40になった時には私は48よ! どうしたって8歳差は縮めることは出来ない」
「……」
「今はよくても私が還暦を迎えた時、あんた今と同じように私を愛する自信がある?!」
「……」
「私は何があっても絶対にあんたから離れないわよ! 死ぬまで、あんたの傍でグチグチ文句を言ってやるんだから!」
「……」
「それでもいいっていうの?! 私しか愛さないって約束出来るの?!」
明登に跨ったままま気持ちを吐露し、薄っすらと涙を浮かべた瞳で言葉を待った。
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