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4.探偵は誰だ
「おい、小林。お前ずいぶん元気そうじゃないか。まるで厄介事が片付いたみたいに晴れ晴れした表情をしている」
「何を言うんですか、太田さん。状況が複雑だったから頭を捻っただけで、太田さんだって僕が優愛と付き合っていたことは知っているでしょう。悲しいに決まってるじゃないですか」
突然、太田に指摘された小林は面食らった様子だったが、改めて悲しそうな顔に戻った。
「芹沢ちゃんがなぜ鍵を閉めたと思う」
「それは、一人になりたかったんでしょう。論文を捏造していたなんて僕は知りませんでしたが、バレてしまって一人で悩むしかなくなってしまったんでしょう」
「 直前までお前が彼女と話していたんだろう。どうして止めなかったんだ」
「 仕方ないじゃないですか 彼女が一人で歩いて行ってしまったんだから。彼女も気が動転して、不安そうで、とても上手く喋れるような感じじゃなくて、歩いて行ってしまったんです」
その答えを聞いて太田の口角がひくひくと動いて笑いを堪えられなくなっていた。
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