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「なぜ一人で歩いて行ったなんて嘘をついたんだい」
答えられなくなった小林に代わって黙っていた教授が口を開いた。
「太田、そのくらいにしてやれ」
「何を言っているんですか、教授。僕の言いたいことがわかりますか? 彼は書庫の中に入っていたんですよ。そして鍵なんて掛かっていなかったんですよ! ずっと扉の前に陣取ってドアノブを抑えて、鍵が掛かっているフリをしていた。そうだろ、小林」
教授は、責め立てる太田を止めようとしていたが、観念した小林がぼそりと暗い声で言った。
「まさか見られていたなんて気づきませんでした。そんなのズルですよ。アイリーにも、優愛のフリをして『鍵を開けてはいけない』って吹き込んでおいたのに」
その自白を聞いた太田は声を上げて笑った。
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