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「そうやって僕のお金まで渡すようになって、僕と優愛の関係は歪になっていきました。いえ、こんなことまで話すべきじゃないのかもしれませんけど。お金のために付き合っているように思えてしまうことがあって、うまく嚙み合わなくなっていたんです。論文捏造も着服も、きっと退学になって、まともな就職もできないってこともあります。でもそれよりも優愛との関係を終わりにしたかったんです。ここで終わりにしないと一生食い物にされてしまう。そんな脅迫めいたものを感じて、僕は、僕は、必死になってずる賢くなろうとしたんです。うまくやらなくちゃ、この人生はもう終わりだって。自分の生きる道を必死に探したんです」
「もういい」と教授が言った。「これは事故だ。さっきも言った通りだが、それが芦沢のためだから」
この発言に太田は、こいつは話が理解できていないんじゃないかと、冷めた目で教授をにらんだ。
「なに言ってるんですか、教授。こいつは殺人犯で、自分の罪を白状しているんですよ。それをなんで事故になんてするんですか」
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