1人が本棚に入れています
本棚に追加
「アイリーも一緒にいるなら彼女の様子を聞いてみましょう。過去のデータを記憶する機能はないですが、カメラが内蔵されているので状況を教えてくれますよ。おい、アイリー、俺は太田だ。部屋の中にいる女性の様子を教えてくれ」
「太田さん、ご質問ありがとうございます。すみませんが、個人のプライバシーを尊重するため、他人の部屋についての情報提供はできません」
このAIが役に立たないということがよくわかったと思う。
「すまなかった、アイリー。代わりにその部屋の様子を描写してくれ。こういうふうに言うと答えてくれるんだ」
話の最後の方は、扉の向こうのアイリーに聞こえないように少し小声で小林や教授に向けて話した。
「かまいません。部屋の中には本棚が複数あり、ファイルが多数置かれた棚やガラス張りの学術書の入った棚があります。奥には窓とブラインドがあり、その下には足を延ばして床に座った女性がいます」
このAIが頼りにならないのはわかっているが、部屋の前に集まった三人は間違いなく部屋の中に芹沢優愛がいるという確信を得た。
最初のコメントを投稿しよう!