Chapter #1

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   そうこうしているうちに、周りの人たちがゆっくりと前進を始めた。  どうやら大学側から案内があったようで、先頭を歩く人が校舎の中へ入って行くのが見える。 「舞恋、ほら。私たちも行かないと」 「テストなんて気分じゃないよ~~」  うな垂れる舞恋の背中を押し、私たちも周りに続く。 (そういえば、カヒンは来てないのかな……)  彼もこの大学へ留学に来たと言っていた。  ならばクラス分けのテストも受けに来るはず。  けれど辺りを見渡しても、それらしき姿は見当たらない。 「どしたの、みさきち。何か探し物? ……あ、もしかして例の彼を捜してる?」  めざとく言い当てられて、私は返事に詰まった。  そんな私の反応に満足したのか、舞恋は急に上機嫌になって、 「ほらぁ、やっぱり彼のこと気に入ったんじゃん~」  と、先ほどまでとはまるで別人のように嬉々として私に絡んでくる。  こうなると面倒なくらいにしつこいのだ。 「だから、そんなんじゃないって……!」  ほとんど反射的に否定しようとした、その瞬間。 「Misaki!」  と、どこからか男の人の声が届いた。  
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