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相手の姿が見えず、こちらがキョロキョロと辺りを見渡していると、同じ声がもう一度降ってくる。
(上だ!)
見上げると、校舎の窓から一人の男性が顔を覗かせていた。
涼しげな微笑みを浮かべた好青年。
一見すると日本人にも見えるその顔は、遠目からでも整っていることがわかる。
「カヒン!」
彼だった。
思わず胸を高鳴らせていると、隣から舞恋が声を荒げる。
「ちょっと! 私もいるんですけどー!?」
人差し指で自分を差すジェスチャーを何度も彼女が送ると、カヒンはくすくすと可笑しそうに笑った。
「Maiko, Misaki, ガンバッテ!」
ガンバッテ。
片言の日本語で、彼はそう言った。
そのまま私たちが校舎の中へ入ると、彼の姿は見えなくなり、私と舞恋はお互いの顔を見合わせた。
「頑張って、だってさ。あの人、もしかして日本語が話せるの?」
「さあ……?」
そういえば最初に空港で会ったときも、コンニチハ、と日本語で言われた覚えがある。
けれど、その後の会話はずっと英語だったし、たまたま挨拶程度のフレーズを知っていただけなのかもしれない。
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