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列はどんどん進み、やがて階段を上り始める。
方角的に、カヒンのいる教室へと向かっている気がする。
彼に会えるかもしれない——そんな期待が胸を掠めたそのとき。
私の目の前に、大学のスタッフらしき人が割り込んできた。
「×××× ××××!」
何か指示を出しているようだった。
けれど、早口すぎて何を言っているのかわからない。
両手をぶんぶんと振って右の方向を示しているので、ここから道を右に曲がれということだろうか。
そっちに行けばカヒンとは別の部屋になってしまう。
しかも、
「えっ、ちょっとやだ。みさきち!」
スタッフが割り込んだのは、私と舞恋の間だった。
前方で焦る舞恋の声には構わず、スタッフは私以降を右へと誘導する。
有無を言わさぬ圧がちょっと怖い。
流されるまま、私は右奥の方にある教室へと向かった。
中は待機室になっており、数分ごとに一人ずつ別室へ呼ばれるらしい。
見知らぬ外国人たちに囲まれて、私はひとりぼっちになった。
カヒンに会えるどころか、まさか舞恋とも離れ離れになってしまうなんて。
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