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 11年前の5月。ソレーユ南方にある菜の花畑にて、まだ9歳だったリアムはに出会った。  美しく揺れる薔薇色のハーフアップヘアの少女。白いワンピースがら覗く手足はすらりとしており、ちらりと見えた横顔はどこか遠くを眺めていた。  貴族の令嬢か?いや、そうでなくても、女子が1人でいるのは危ない。ここは国境地帯だ。この世界には人身売買の闇業者だっている。あのように美しい少女など、すぐに狙われる。そう思い、リアムは少女の所へ歩いて行った。 「おい、お前」  声をかけると、少女は不思議そうにリアムを見た。清らかなアイスブルーの瞳に見つめられ、その美しさにリアムの心臓がドキリと音を立てる。 「っ…………!」 「あの……私に何か用ですか」 「なっ、あ、いや…………。お、お前、こんな所に一人でいると危ないぞ!危ないから、俺が来てやったんだ!将来の大陸一の騎士様が直々にだ」 「はぁ」 「だから、ありがたく思え!」  照れ隠しとはいえ、いばり倒すリアムを見て少女は呆れた顔になったが、すぐにハッとして彼の額に手を当てた。 「っ!?な、何するんだっ!?」 「いや、顔が赤いし、熱でもあるのかと思って」  少女の心配そうな顔が近づき、リアムの胸の鼓動が更に早くなる。 「なっ、ない!熱なんてない!!」
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