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 どうしてクロエが自分達の元へやって来たのか分からず、戸惑う町娘達。クロエはそんな彼女らに微笑むと、そのうちの一人に星飾りのついた髪留めを手渡した。 「エトワールさん、落としてましたよ」 「えっ……やだ、ほんとだ!ありがとうございます!…………っていうか、名前、覚えてくださってたんですか!?」 「ええ。先日、騎士団にパンを差し入れして下さいましたよね。クリームパン、美味しかったです。ありがとうございました」  クロエが笑うと、エトワールは顔を真っ赤にして目を潤ませた。 「こ、光栄ですぅぅっ!クロエ様のお口に合って、本当に良かったですっ」 「ふふっ、そう言っていただけるなんて、私は幸せ者ですね。今度お店に寄らせてください。では、私はこれで」  クロエは美しい微笑みを残して、騎士団宿舎の方へスタスタと歩いて行ってしまった。 「クっ、クロエ様に……認知されてた…………嬉しすぎる…………」 「ただの町娘の名前を覚えていて下さるなんて、クロエ様、なんてお優しい方なのっ!」 「見た目だけではなく、心まで麗しいなんて……本当に素敵な人だわぁ」  クロエ・フローレスは麗しい。男女問わず、皆が彼女に惹き付けられる。騎士や貴族など、身分の高い人々も例外では無い。  しかし、彼女の心が向けられているのは、ただ1人。
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