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クロエは、レオの部屋のキッチンでリンゴの皮を剥いていた。涼しい顔でナイフを操るクロエだったが、内心それどころではなかった。
さっきの笑顔……可愛かったな。ふにゃっとしてて、柔らかくて…………。やっぱり、レオは世界一可愛い。はぁ、抱きしめまくりたい。
心の中がレオでいっぱいなクロエ。レオのことばかり考えていたら、手元が狂って…………。
「痛っ……」
ナイフで、指を切ってしまった。
「わぁぁぁ!クロエ、大丈夫!?」
「ああ……うん、これぐらい平気」
いつもの美しい微笑みを向けるクロエ。しかし、心の中では、
はぁぁぁ。慌てるレオ、可愛い。世界一可愛い。
などと思っている。ポーカーフェイスもいいところだ。
一方、クロエの気持ちに気づいていないレオは、慌てて切れた指に触れると、魔力を込めた。
「平気じゃないよっ!すぐ治すから……っ!『キュア』!」
レオが呪文を唱えると、藤色の光が傷口を包み、みるみるうちに塞がっていった。
「ふぅ……。これで大丈夫。クロエ、痛くない?」
レオは心配そうな顔でクロエを見つめる。レオの方が少し背が低いので、自然と上目遣いになってしまう。
そしてそれは…………クロエに効果抜群だった。
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