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「うん。痛くないよ。ありがとう、レオ」  痛くない……そう言いつつも、レオの可愛さにクロエの心臓はバクバクだった。レオが可愛すぎて胸が痛い…………。クロエは思わず胸を押さえる。しかし、レオはクロエの気持ちなど知る由もない。 「ほんとに?良かったっ!」  レオは、満面の笑みをクロエに向ける。クッ……天使か…………?これ以上レオの可愛さを摂取したら昇天する。そう判断したクロエは、目を閉じて深呼吸した。 「ッ……スゥゥゥ……ハァァァァ…………」 「ん?クロエ、何してるの?深呼吸?」 「ああ……。ちょっと、空気が吸いたくなってね」 「え、僕の部屋の空気を?」 「うん」  ……あ。勢いで頷いてしまったクロエは、直ぐにその発言を後悔した。  これじゃ私、変態じゃないか…………? 「レオ、ごめん。違──」 「そういうことなら、もっといい香りにしておくべきだったぁ!今のままじゃ、何の味もしないよね?」 「味……は、たしかにしないけど」 「じゃあ、今度来る時はクロエが好きな薔薇の香りを付けておくね!楽しみにしてて!」 「ッ…………!」  クロエは、レオの無邪気な笑顔と、天然発言を心に刻み込み…………押し寄せる感情を飲み込んで、麗しい微笑みを彼に向けた。 「ありがとう。楽しみにしてるね」  なんともない顔をしているが、内心レオを抱きしめたくて堪らなかったクロエなのだった。
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