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 王都防衛騎士団は、王都を守る最後の砦だ。そのため、常に鍛錬を怠らない。クロエは剣を構えて、鍛錬相手の騎士団団長、アンドレ・ディアスに対峙していた。  アンドレは騎士団一屈強な大男で、自分の身体より大きな大剣を振り回して戦っている。力だけでは、クロエに勝ち目はない。 「フローレス、遠慮はいらん。かかって来い!」 「アンドレ団長、よろしくお願い致します」  クロエはそういうやいなや、素早くアンドレの懐に入り剣を振るった。彼女の中の魔力が具現化し、薔薇の花びらが舞い散る。それが、クロエが『薔薇の剣士様』と呼ばれる所以だった。  アンドレはクロエの斬撃を大剣で弾くと、すぐさま反撃に移る。大剣を振り下ろし、クロエをたたっ斬ろうとしたのだ。  しかし、クロエにはそれが読めていた。彼女は素早く横に移動し、大剣を躱すと剣に魔力を込める。 「『エクレール()』……!」  クロエの剣に雷の力が宿る。クロエが剣を振るうと、空気がバチバチと音を立てた。 「覚悟っ!」  雷を纏った剣がアンドレに迫る。しかし、アンドレは怯まなかった。
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